「いい大学に入れば、将来安泰」──そんな時代はもう終わったかもしれません。
教育経済学の専門家・中室牧子教授によると、**年収や人生の満足度に直結するのは「偏差値」ではなく、子ども時代の経験や性格的な力(=非認知能力)**なのだそう。
今回はTBSのYouTubeチャンネル【まないく】で紹介された、「年収を上げる教育3選」をもとに、科学的根拠に基づいた子育てのヒントをまとめてご紹介します。
偏差値の高い大学に行けば将来安泰?…それって本当?

「いい大学に行けば、将来は安定」「学歴が高ければ高収入が得られる」――そんな考え方、私たちの親世代には当たり前のように語られてきました。でも、それは本当に正しいのでしょうか?
教育経済学の研究によれば、偏差値の高い大学や高校に進学することが、必ずしも将来の収入アップにはつながらないというデータが出ています。実際、アメリカの有名な研究では、同じくらいの学力・成績を持つ高校生が、ハイレベルな大学や高校に進学した場合と、そうでない学校に進学した場合とで、その後の年収に大きな差がなかったことが明らかになっています。
つまり、「どこの学校に行ったか」よりも、「その人がどんなスキルや経験を積み、どんな力を身につけたか」が将来の年収や満足度を左右するということ。
中室牧子さんも、「日本でもアメリカでも、“偏差値の高い学校に行った人=高収入”とは言い切れない。むしろ、子ども時代にどんな経験を積んだかが、将来の所得により大きな影響を与える」と話しています。
将来の年収を上げるためにやっておくべきこと、ベスト3!
1. スポーツ経験が「学力」も「年収」も高める

意外に思われるかもしれませんが、子ども時代にスポーツに打ち込んだ人は、将来的に年収が高くなる傾向があることが研究でわかっています。
しかも、単に運動神経が良かったからではありません。スポーツを通じて得られる、
- 仲間と協力する力
- 困難に立ち向かう力
- 継続して努力する力(やり抜く力)
こうした経験が、のちの人生にも好影響を与えるのです。
さらに、スポーツは学力向上にも効果的というデータも。運動によって脳の働きが活性化し、集中力やワーキングメモリ(作業記憶)が高まることで、勉強にも良い影響を与えることがわかっています。
2. リーダー経験がもたらす将来の成功

「子どもの頃にクラス委員や部活のキャプテンなんて、ただのお飾りでしょ?」と思ったことはありませんか?
でも実は、10代でリーダーシップ経験を持つことは、将来の収入や出世に大きく関係していることが、アメリカの研究でも示されています。
リーダーとしての経験を通じて身につくのは、
- 問題解決力
- 他人を巻き込む力
- 自分の考えを伝える力
など、社会で求められるスキルばかり。
大人が思う以上に、子ども時代の「人前に立つ」「責任を持つ」という経験は、本人の中で大きな糧になるのです。
3. 非認知能力が人生を左右する

最近よく耳にするようになった「非認知能力」という言葉。これは、テストの点数などで測れない、
- 忍耐力
- 自制心
- やり抜く力
- 協調性
- 共感力
- 感情のコントロール
といった**「内面的な力」**のこと。
この非認知能力が、実は学歴以上に年収や幸福度に影響するという研究結果が多く報告されています。
非認知能力は「育てられる」
重要なのは、この力が生まれつきの才能ではなく、後から育てることができるという点。
中室教授は、次のようなアプローチが非認知能力を育てるのに有効だと話しています。
◎ 音楽・美術などの芸術的体験
感性や自己表現を育てるだけでなく、継続的な努力や創造性が養われます。
◎ 好奇心を刺激する教材や遊び
「なんでだろう?」「やってみたい!」という気持ちは、探究心や自発性を引き出します。
◎ 多様性ある環境
異なる価値観に触れることで、共感力や柔軟な思考が育まれます。
これらの経験はすべて、子どもの「人としての土台」をつくる大切な機会。
短期的な「点数」では見えないけれど、長期的にはとても大きな差になります。
偏差値信仰から自由になろう
中室教授は、「偏差値の高い大学に行っても、将来の収入とは相関がない」という研究結果を紹介しながら、**「目に見える評価だけで子どもを測らないことの大切さ」**を伝えています。
私たち親が「偏差値」や「結果」にとらわれすぎず、過程を認め、挑戦する姿勢を応援すること。それが、子どもの非認知能力を育て、将来の選択肢や可能性を広げる一歩になるのだと思います。
まとめ:子育てに、科学という「判断軸」を
この動画を見て改めて感じたのは、「子どもにとって本当に必要な教育ってなんだろう?」ということでした。スポーツ、リーダーシップ、非認知能力。偏差値や成績といった「目に見える結果」だけにとらわれず、子どもの内側にある力をどう育てていくかが、これからますます大切になってくるんだと思います。
中室先生が、友人であるオリンピアンの為末大さんと話している時に聞いたという、こんな言葉がとても印象的でした。「ウサイン・ボルトと同じ練習をしても、ボルトにはなれない」。成功した人のやり方をそのまま真似ても、うまくいくとは限らない。だからこそ、何を信じて、どう子育てをしていくか――その判断軸として“科学”を取り入れることが大切なんですね。
我が子にとって本当に意味のある経験や学びってなんだろう?どうすれば、忍耐力や自制心、やり抜く力といった「非認知能力」を伸ばせるのか?
そんなことを、これからも日々の暮らしの中で考えていきたいと思います。
💡今回ご紹介した内容は、TBSのYouTubeチャンネル【まないく】で配信されたこちらの動画を参考にしました:
▶️ 【年収を上げる教育 3選】教育経済学が専門の中室牧子教授/「スポーツ」と「リーダー」と「非認知能力」
YouTubeで動画を見る
お時間のあるときにぜひご覧ください。
中室先生の関連書籍はこちら↓(アフィリエイトリンクを使用しています)
コメント